植物の力に惹かれた美容師が開いた山の中のサロン
オーナーのマナさんは、美容師としてキャリアをスタートした当初からシャンプーの施術に強い情熱を持っていた。お客様から「気持ちよかった」と声をかけられるたびにやりがいを感じ、やがて専用個室でのロングヘッドスパを任されるまでになった。同時に、自身がヘアカラーで経験した頭皮のヒリつきや痒みをきっかけにヘナカラーと出会い、植物由来の自然美容を本格的に学び始めている。その二つの軸が交わった先に生まれたのが、愛媛県西条市の山中に構えるプライベートサロン・月と草木だった。
幼少期を過ごした山に対して、当時は複雑な感情を抱いていたという話が印象的だった。大人になって「本当にリラックスできる場所はここだ」と気づき、Uターンする形で開業に踏み切ったそうだ。窓の向こうに広がる山並み、鳥の声、植物の香り——施術中に五感へ届く情報すべてが自然由来のもので構成されている。個人的には、この「場所ごと施術に取り込む」という発想がほかのサロンにはない独自性だと感じた。
草木染めとヘッドスパを掛け合わせた施術の中身
月と草木が提供する施術の核は、草木染めとヘッドスパの組み合わせにある。化学的な薬剤による負担を抑えながら髪に色を入れ、同時に頭皮環境を整えるという二重のアプローチを一度の来店で受けられる。髪質や頭皮の状態は一人ひとり異なるため、カウンセリングで状態を見極めたうえで植物素材の配合や手技を調整しているという。染めるという行為そのものがケアの時間に変わる構造は、従来のカラーリングとは根本的に異なる。
施術プランは疲れの度合いや目的別に設計されており、価格帯は11,000円から15,500円まで。草木染め単体ではなくヘッドスパとセットになっている点が、来店者から「一回の施術で頭全体が軽くなった」と評価される理由になっているようだ。オプションメニューも用意されており、当日の体調や気分に合わせて内容を追加できる柔軟さがある。施術台は1台のみのため、他の利用者と顔を合わせることなく過ごせる。
仕事や育児に追われる日々から距離を置く場所として
月と草木が想定している利用者像は、仕事・家事・育児といった日常のタスクに追われ、自分自身のケアを後回しにしがちな人たちだ。完全プライベート空間で周囲の目を気にせず過ごせる環境は、「ただ横になっているだけで涙が出た」という声が寄せられるほど、精神的な解放感をもたらしている。深呼吸をしながら自然の音に耳を傾ける時間は、身体だけでなく心のコンディションにも作用する。マナさん自身が掲げる「幸せの循環を巡らせる」という考え方が、施術の随所に反映されている。
営業時間は10時から18時で、不定休のため来店前に問い合わせてスケジュールを確認する必要がある。支払いは現金・クレジットカード・電子決済に対応済み。予約制かつ施術台1台という運営形態なので、時間に余裕を持って訪れるのがいいだろう。営業日時の変更や新メニューの情報は随時発信されている。
インターチェンジからアクセスできる山中の立地
「山の中」と聞くとアクセスに不安を覚えるかもしれないが、月と草木はインターチェンジから車で通える場所に位置し、駐車場も完備されている。到着した瞬間から周囲の緑や空気の澄み具合が街中とは明らかに違い、施術前の段階ですでにリラックスが始まっているような感覚になるという来店者の声も目立つ。山あいの環境だからこそ成立する「自然の中でヘッドスパを受ける」というコンセプトは、立地そのものがサービスの一部になっている。
施術に使用する機器や植物由来のアイテムは、自然美容を深く学んだマナさんが選定したものが揃う。草木染めに用いる素材の種類やヘッドスパの手技に関する情報も、問い合わせれば事前に確認できる。遠方から足を運ぶ利用者も少なくないようで、「片道2時間かけてでも通いたい」という感想が聞かれることもあるそうだ。日常の延長線上にはない場所へわざわざ出向くこと自体が、非日常の入口になっている。


